壁の多さに疲弊する必要はないのかもしれない
アクセシビリティカンファレンスCHIBAに参加してきた。
壁が多い話
思えば去年の暮れに行われたアクセシビリティカンファレンス福岡2024に現地参加してから自分のアクセシビリティに対する考え方が変わった。
きっかけとしては、田中みゆきさんの「障害は乗り越えられるべき課題なのか?」という話を聴いて、「アクセシビリティ難しすぎる。想像以上に」と感じたからだ。
もともと登壇前に、誰のためのアクセシビリティ? 障害のある人の経験と文化から考えるを読んでいたこともあり、その時から薄々感じていたけど直接ご本人から話を聞いて、より強く感じた。特にエイブリズム(障害者差別)が根強く存在していることを知り、アクセシビリティを考えることがとても難しいことを痛感した。
そして今年になってもう少し見識を深めたいと思って、当事者に関する書籍をいくつか読んだり、研究論文や記事を読んだりした。
今回の「アクセシビリティカンファレンスCHIBA」のテーマは「始めるから、広げるへ。」なので少し経路が違う話もあるのかも?と思い参加したが、最初のゆうてんさんの話だったりそのあとのセッションでも「アクセシビリティって壁が多い」ということに触れていた。
自分がなんでアクセシビリティについて興味があるのか?
エンジニアということもあって最初はARIA属性の存在を知って、支援技術を知ってという流れで興味を持ったのがきっかけだった。Webサービスって僕の考えた最強のHTMLを書いて公開したとしても、それを認識できない人もいることを知って驚いたのを今でも覚えている。
その後特に周りに伝搬することもせず、一人で細々アクセシビリティ対応をしてきたが、障害者差別解消法の改正だったり、様々な企業がアクセシビリティ対応を始めたこともあって、「そういう時代か」と思うようになりイベントに参加したり会社で啓蒙してみたりと少しずつ行動を起こすようになり今に至るのだが、エンジニアだけでは解決しない課題が想像以上に多く、アクセシビリティを考える、やっていくことがとても難しいことを痛感した。まさに壁だ。
もうひとつの軸としては、自分が将来障害を持ったり、歳をとることで困ったシチュエーションが多い世の中は嫌だなと思ったのがある。今はこの軸が中心となりなんとかやっている感じだ。
壁の抽象度が高い
アクセシビリティに限らないんだけど、多分この壁の抽象度がアクセシビリティに関しては、特に高いんだろうなと思った。技術カンファレンスとかだと抽象の話もあるけど具体の話も多い。セッションが終わったあとにAsk Me Anythingみたいな場があって登壇者に質問できたりして結構その場でヒントがもらえたりする。
抽象度の高い話は、多分具体の話よりも時間がかかる。Ask the Speakerみたいな場があると良いのかもしれない。交流会の時間だけでは整理できないような気がした。
セッション中にも宣伝で話があったアクセシスタディーズのような場は、とても良いなと思った。 当事者をお招きして話を聴き、参加者全員が対話できるような場は、自分にとって求めていた場かもしれないなと感じたので、ぜひ参加したいと感じた。
参加して感じたこと
今回のセッションを聴いて壁については「あるよねー」程度でそれを認識したうえでやれることを楽しくやろうよ!というメッセージが多かったように思う。
精神論の話で辛くなったら避けてもいいという話だったり、外部のスペシャリストをお招きして楽しく成長しながら取り組んだり、障害者同士が喧嘩することもあるよねーみたいな話もあったり。
特にエコーチェンバーの話は刺さった。最近自分も意識的に、エコーチェンバーにならないように気をつけているが、一歩外に出たら共感してくれないことがほとんどの場合がある。まさに大きな壁だ。
交流会でも、全然関係ないところでアクセシビリティを啓蒙、行動している方がいて、とても素晴らしいなと思ったし、壁なんかあってあたりまえを認識して行動しているなと感じた。自分も壁なんかで疲弊する必要がないなと感じた。
個人の自分としては、エンジニアとしてアクセスできないものを作らないということに専念すればいいと思うし、もう少し大きなことをやりたいと思ったらコミュニティや、こういう場で毎回知見が得られるので、それをヒントにして自分ができることをやればいいのかなと思った。
おわりに
運営のみなさま、登壇者のみなさま、そして僕とお話してくれたみなさま、ありがとうございました。とても楽しかったです。
自分が何ができるのか改めて考える時間をもらえた気がします。